美しい鉄道員

minyako2005-03-28

1:10




「美しい鉄道員」 おはなし:イジニョン さしえ:キヨンスン


第一章 電話のベル


「あっ、事故だ」
「李チーム長!早く救急車を呼んでください!」
「うわーんうわーん」
オレンジ色の制服を着た119救急隊員たちが瞬く間に永登浦駅8番ホームに押し寄せました。
そして血まみれになったまま線路に倒れている人に駆け寄り、応急処置を始めました。すばやく応急処置を終えると救急隊員は倒れた人を車に乗せ、ひっそりと駅をあとにしました。その人は、もう死んでいるのかもしれません。


久々に陽射しがじりじりと照りつける朝でした。何日ぶりかで雨があがったことを、家族みんなが喜びました。お母さんは家中の部屋の窓を広々と開け放ちました。
ヒョソンも久しぶりの青空を見て、良い気分です。夏休みになったとたんに梅雨に入ってしまい、塾へ行く時以外は毎日牢名主みたいに、家ですごすばかりだったからです。
塾へ行く時も、かならず服がぬれるし、毎日降り続く雨にうんざりしていました。だから今日、雨があがり、どんなにうれしかったことでしょう。
「ママ、広場で遊んでくるよ」
夏休みの宿題をすませたヒョソンは、ぜんまいみたいに部屋のドアを蹴って出てきました。広場で、なかよしのジョンスと一緒にローラーブレードをやるのです。
まさに玄関を開け外へ出ようとしたときです。
「プルルルル…」
電話のベルが鳴りました。
「ママ、ぼくが出るよ」
ヒョソンは、広場で会うことになっているジョンスからの電話かもしれないと思い、いそいであともどりして電話をとりました。昨日やり残していた分の宿題まで、全部すませてから出かけようとして、約束の時間に少し遅れたからです。
しかし、受話器を耳にあてるなり、切迫した声が耳に飛びこんできました。
「もしもし。そちらはキムヘンギュンチーム長のお宅ですか?こちらは永登浦駅ですが、今、キムチーム長が事故にあって病院へ運ばれていきました。新村延世病院の救急室です!」
「え、なんですって!救急室ですか?」
ヒョソンはびっくりして、お母さんを呼びました。
「ママ、パパが事故にあったって」
台所でお掃除をしていたお母さんがあたふたと走ってきました。ヒョソンはお母さんに受話器を渡しました。
「おばあちゃん、お兄ちゃん!パパが事故にあって、病院に運ばれたって」
ヒョソンは部屋から飛び出してきたおばあさんとジュンソンお兄さんにも、電話で聞いたことを伝えました。
電話をしているお母さんの顔が、だんだんと白く変わっていきました。そして、電話を置くと、あわてて外へ飛び出しました。


なにかを待つことが、これほどつらく感じるのは初めてのことでした。ジョンスとのローラーブレードで遊ぶ約束は中止にして、おばあさん、お兄さんと一緒に、お母さんからの連絡を待ちました。でも、夕方になっても、お母さんからはなんの知らせもありませんでした。不安を押さえきれないヒョソンは、とうとうおばあさんに尋ねました。
「おばあちゃん、パパは大丈夫だよね?」
「・・・」
ジュンソンお兄さんも、我慢できず、おばあさんに同じ質問をしました。
「おばあちゃん、お父さんは大丈夫なんでしょう?」
「・・・」
けれど、おばあさんは返事をしませんでした。おばあさんにはわかっていたのです。列車事故は、いつも大事故であることが…。


「なあ、ヒョソン。この駅に電車が1日何本くらい行ったり来たりするか知ってるかな?」
「・・・」
駅員室で会ったお父さんは、プラットホームをひっきりなしに行きかう列車を見ながら、ヒョソンに聞きました。
「1,400台以上もなんだよ」
「うわー、そんなにいっぱい?」
「うん。永登浦駅はソウル駅の次に、ソウルの人たちがたくさん利用する駅だからね」
「わあ、ほんとにすごいや」
その時、ヒョソンは胸がいっぱいになりました。お父さんが、そんな重要な場所で仕事をしているからです。そこでお父さんがしているのは、駅に列車が入ってくる前に線路と信号の状態を点検して、列車がホームに入る時は乗客を見守る仕事でした。列車が通り過ぎるとき、とても強い風が吹くので、黄色い安全線の外側に立っている乗客が、あやまって線路に落ちる事故が、ときたま起こるのです。もし事故が起きたら、お父さんは果たして無事にすむのだろうかと本当に心配になりました。


「プルルル…」
ずっと受話器の前で、うろうろしていたヒョソンは、電話に飛びつきました。
「もしもし!」
お母さんの声でした。
「あ、ママ。ぼくだよ、ヒョソンだよ…」
「ああ、ヒョソン。すごく待ったでしょ?お父さんはもう手術がすんで、命の危険はないそうだから、そんなに心配しなくていいのよ。おばあさんにも、心配しないでって伝えてね」
幸いなことに、お母さんの声は普段と同じで落ちついていました。
「ああ、ほんとに?ずっとママの電話を待ってたんだよ」
「うん。電話ができる状態じゃなくて。じゃ、お母さんはまたお父さんのところに行かなくちゃならないから、電話を切るわよ」
おばあさんとジュンソンお兄さんも、お父さんの無事の知らせに、安心してため息をつきました。
でも、ヒョソンはお父さんが1日中手術を受けていたという言葉に、別の心配ができてしまいました。
「いったい、どれほどのひどいけがをすれば、1日中手術を受けたりするんだろう?」
「パパは、ほんとに大丈夫なのかなあ?」
ヒョソンは、すぐさま病院に駆けつけたいと思いました。重苦しくて、時間が経つのが本当に遅く感じる1日でした。息がつまるような思いは、おばあさんも、お兄さんも、同じでした。



>絶ちゃん  とりあえず第一章でし。誤字脱字・日本語がおかしい所は、自分で適当に補正しながら読んでください。次は最終章を訳す予定です。全文訳すのは面倒いや、マズイかもしれないので。あと、痛そうな記述満載で、ちょっと苦しくって…。

原文で読みたい方はこちらでご注文くださいな。
リブロ明洞店 http://www.libro.co.kr/kids/kids_detail.asp?goods_id=0100005177407
YES24(の方が安いけど、外国人は会員登録できません) http://www.yes24.com/Goods/FTGoodsView.aspx?goodsNo=439539&CategoryNumber=001001016007